都市の大聖堂―ゴシック建築と都市の発展について  その7 大聖堂の歩みと建物の様式・世界の大聖堂

雑記・建築旅

この章では、世界にある大聖堂を紹介するとともに、大聖堂の歩みとその建築様式についても取り上げていきたいと思います。大聖堂の建設にかかる時間とコストはこれまでにも見てきたように膨大であり、建設から今でも継続して完成を見ていないものが多々あります。
大聖堂の建設を行う人々は、中世から現在においても、現在のためだけでなく、永遠のために建てようとしているのだと感じられます。

昔と今】 
 私たちはふつうは中世が大聖堂建設がもっともさかんな時代であったと考えますが、司教たちや修道会などはこんにちに至るまで壮大な大聖堂建設のための計画や資金集めを続けてきています。古い大聖堂を完成させたり、その規模を大きくしたり、ときには―イングランドにあるヨーク・ミンスターや小ヴェントリー大聖堂のように―戦争や自然災害などによる被害のあと、注意深く修理されたり、あるいは完全に再建されたりした例もあります。
人々はなぜ大聖堂の建設を続けているのでしょうか。こんにち、男も女もいったい何のためにそのように大変な、時間のかかる計画に打ち込むのでしょうか。通常の場合は、その理由は中世の司教たちやそれを応援した人々の場合と同様なものです。かれらは神の栄光をたたえるため、教会のキリスト教の教えに注意をひきつけるためにそうするのです。また、疑う余地なく、何かよくできたもの、強力で美しいものを作り出すことに生涯をついやす機会を歓迎しているのです。
(出典・引用:三省堂図解ライブラリー 『中世の大聖堂』)

世界の大聖堂

リヴァプールのメトロポリタン大聖堂 外観
(写真:ウィキペディア より) 
(イギリス リヴァプール1960年)
イングランドのローマ・カトリックの大聖堂

地元の人々にパディーズ ウィグワム (パディーの大テント) と呼ばれている、モダン建築の大聖堂。大きなテントのようなデザインの傑作建築です。  
 リバプール メトロポリタン大聖堂は、テントのような形をした、巨大なコンクリートの建物です。中に入ると、長い身廊と豪華なステンドグラスの窓がひときわ目を引きます。
 大聖堂を最初に設計したのはエドウィン・ラッチェンス卿でしたが、第 2 次世界大戦の勃発と資金不足のため、建設工事は暗礁に乗り上げることとなりました。1960 年、建設計画は再び動き出し、複数の建築家を招いて設計コンペが行われました。ヒースロー空港を設計したフレデリック ギバード卿の案が選出され、1967 年、大聖堂はついに完成。

メトロポリタン大聖堂内観

エクスペディア:https://www.expedia.co.jp/Liverpool-Metropolitan-Cathedral-Knowledge-Quarter.d6078877.Place-To-Visit



スペイン、バルセロナの聖家族大聖堂(サグラダ・ファミリア) 外観
(写真:ウィキペディア より) 
(スペイン バルセロナ 1883年~)

サグラダ・ファミリアは、カタロニア・モダニズム建築の最も良く知られた作品例であり、カタルーニャの建築家アントニ・ガウディの未完成作品です。バルセロナ市のシンボルであるこの建物は、綿密に構成された象徴詩的なシンボロジーと共に、パラボリックな(放物線状の)構造のアーチや、鐘楼に据えられた自然主義と抽象主義の混在する彫刻などで、大胆な建築様式を誇ります。
工事は今も続いていて、あと何年かかるのかは誰にもわかりません。

聖家族大聖堂外観

ウィキペディア:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%80%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%9F%E3%83%AA%E3%82%A2


ドイツ、ケルン大聖堂 外観
(写真:ウィキペディア より) 
(ドイツ ケルン 1883年~)

ケルン大聖堂(ケルンだいせいどう、Kölner Dom)は、ドイツケルンにあるゴシック様式大聖堂。正式名称はザンクト・ペーター・ウント・マリア大聖堂Dom St. Peter und Maria。聖ペトロとマリア大聖堂の意)。ゴシック様式の建築物としては世界最大です。


ウィキペディア:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B1%E3%83%AB%E3%83%B3%E5%A4%A7%E8%81%96%E5%A0%82


アメリカ合衆国、ニューヨークのセント・ジョン大聖堂
(セント・ジョン・ザ・デヴァイン) 外観
(写真:ウィキペディア より) 
(アメリカ ニューヨーク 1892年~)

セント・ジョン・ザ・ディヴァイン大聖堂英語: Cathedral of St. John the Divine)は、アメリカ合衆国ニューヨーク市マンハッタンにあるキリスト教米国聖公会ニューヨーク主教区聖堂。アメリカ工事は1892年に開始されましたが、大聖堂はまだ未完成です。そのかわり、費用は司教管区内の貧しい人や困っている人々を助けるために使われています。

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セント・ジョン大聖堂 外観 および今も建設中のサウスタワー

ウィキペディア:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E5%A4%A7%E8%81%96%E5%A0%82


未来が不確かで、いかなる建築も長くは建ち続けることがないように思われる時代にあっては、大聖堂を建設する人々は、その仕事によって信仰の告白をしようしている、と思われます。中世の大聖堂で働いた建築家や職人たちのように、彼らも現在のために建てるのではなく、来るべき日のため、そしておそらくは、永遠のために建てようとするのでしょう。

中世の大聖堂をテーマとしてご紹介してきた章は、一旦の区切りとしたいと思います。来年は、近世・近代を作り上げた建築と建築家を主に取り上げつつも、この章にもあらたな大聖堂をご紹介していければと思います。

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