庭園を巡る 都立文化財9庭園②~清澄庭園

歩き建築集

 今回は、明治の代表的「回遊式林泉庭園」、清澄庭園を巡りました。全国の名石を配した池を巡り、芭蕉の句碑や涼亭の眺めを楽しむことができました。

【文化財庭園 都立9庭園について】
 都立庭園は、江戸、明治、大正時代から続く歴史・文化・自然を兼ね備えており、いずれも国や都のの文化財に指定されています。
 震災や戦災、進む都市化の中で残された貴重な存在です。
(清澄庭園リーフレットより)

東京都公園協会 清澄庭園HP:https://www.tokyo-park.or.jp/park/kiyosumi/index.html

 清澄庭園は、泉水、築山、枯山水を主体にした「回遊式林泉庭園」です。この造園手法は、江戸時代の大名庭園に用いられたものですが、明治時代の造園にも受けつがれ、清澄庭園によって近代的な完成をみたといわれています。
この地の一部は江戸の豪商・紀伊國屋文左衛門の屋敷跡と言い伝えられています。享保年間(1716~1736年)には、下総国関宿の藩主・久世大和守の下屋敷となり、その頃にある程度庭園が形づくられたようです。
明治11年、岩崎弥太郎が、荒廃していたこの邸地を買い取り、社員の慰安や貴賓を招待する場所として庭園造成を計画、明治13年に「深川親睦園」として 一応の竣工をみました。弥太郎の亡きあとも造園工事は進められ、隅田川の水を引いた大泉水を造り、周囲には全国から取り寄せた名石を配して、明治の庭園を 代表する「回遊式林泉庭園」が完成しました。(清澄庭園HPより)

【地下鉄 清澄白河駅】
 都営地下鉄大江戸線、東京メトロ半蔵門線「清澄白河駅」(A3出口)より、下車徒歩3分で行くことができます。出口より清澄通りを挟んですぐに、庭園が見えます。案内板に従って進むと、通用門へ続きます。

【庭園入口・園内map・花暦】

【入口すぐ 手水鉢】

【園内 大正記念館】
 大正天皇の葬儀に用いられた葬儀殿を移築したもの。しかし、最初の建物は戦災で焼失してしまったため、昭和28年(1953年)に貞明皇后の葬場殿の材料を使って再建され、平成元年(1989年)4月に全面改築されました。集会場として利用できます。

【大泉水を北側より臨む】
 目前に大泉水が広がります。ここから、北側を臨むと正面に池に突き出して建てられた「涼亭(りょうてい)」が見られます。この庭園の特徴な建物で、さまざまな方向から見ることができます。

【高松宮記念植樹】
大正記念館再建の際(昭和28年)に植樹された松が見られました。

【手水鉢と、灯籠】

【大正記念館を東妻側より臨む】

【鹿威し】
石畳の通路を進んでいくと、鹿威しが見えてきました。

【大泉水東側より、中の島と涼亭を臨む】
 左手を渡ると中の島へ進む行くことができます。(上)
 さらに歩を進めると、涼亭が近づいてきました。(下)

【名石】
 伊豆石、伊予青石、紀州青石、生駒石、佐渡赤玉石、備中御影石、讃岐御影石。これらは庭園に据えられた庭石の代表的なものです。このほか敷石や橋、磯渡り、枯滝の石を含め、園内には無数の石が配置され、さながら「石庭」の観を呈しています。これらの石は、岩崎家が自社の汽船を用いて全国の石の産地から集めたものです。

【芭蕉の句碑】
「古池や かはづ飛び込む 水の音」、
松尾芭蕉の最も有名なこの句を刻んだ石碑が、園内に立てられています。

【涼亭を南側より臨む】
 池に突き出るようにして建てられた数寄屋造りの建物。これが、この庭園を日本情緒豊かなものにしています。涼亭は、明治42年(1909年)に国賓として来日した英国のキッチナー元帥を迎えるために岩崎家が建てたものです。

【磯渡り】
 池の端に石を転々と置いて、そこを歩けるようにしたもの。広々とした池の眺めが楽しめるだけでなく、歩を進める度に景観が変化するように配置されています。

 今回訪れた清澄庭園は、広すぎず、比較的手軽に回遊できる庭園でした。大泉水には様々な築山が工夫して配置され、涼亭を軸にいろいろな角度から庭園の風景を楽しむことができます。
都心からとても近い場所にありながら、落ち着いた雰囲気で巡ることのできる庭園です。都立9庭園でも足を運びやすいので、ぜひ一度は訪れてみてください。

 なお、下記のブログで、日本庭園の分類や技法について調べてみました。ぜひ参考に。
https://archiacross.com/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ae%e3%81%8b%e3%81%9f%e3%81%a1%ef%bd%9e%e5%ba%ad%e5%9c%92%e3%80%80%e2%91%a0%e3%81%9d%e3%81%ae%e5%88%86%e9%a1%9e%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6/

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